Blockchain Engineering Team
この記事は LINE Blockchain Mainnet (LBM) のアーキテクチャを説明するシリーズの最初のパートであり、既存のブロックチェーン実装に立ち返って分散システムの観点での現在のブロックチェーンのアーキテクチャとファイナリティの実装要件を説明しています。このコンテキストは次の LBM のコンセンサス機構である Ostracon を理解するのに役立つでしょう。 現在の Ostracon の成果、特にゼロインタラクションでのリーダー選出や通信効率を向上した BFT に関する論議する機会を嬉しく思います。我々 Blockchain Engineering Team と LINE NEXT は現在と将来の Ostracon の分散合意実装に深く関与する VRF (Verifiable Random Function) や署名集約、仮想マシン化の研究を行っています。 ファイナリティに関する考察 2009 年に Bitcoin で最初のトランザクションが発生してから十数年間で様々なブロックチェーンアーキテクチャが生み出されました。当初こそ P
はじめに こんにちは。Blockchain Labの高橋です。 以前、同じくBlockchain Labに所属している高瀬がスマートコントラクトとWebAssemblyの親和性について記事を公開しました (Web 以外でも期待される WebAssembly – Blockchain との親和性について)。 その中でも少し述べられていたようにWebAssembly Runtime を組み込んで VM として使用し、WebAssembly 形式でのスマートコントラクトをサポートするブロックチェーンが登場しつつあります。 そこで、今回は WebAssembly 形式でのスマートコントラクトをサポートしているブロックチェーンがどのような WebAssembly Runtime を VM に組み込んでいるのかを紹介します。 標準化の取り組み - WASI - ブロックチェーンで使われている WebAssembly Runtime を紹介する前に、Web以外で WebAssembly を利用するための標準化の取り組みである WASI について紹介します。WASI は Web
はじめに こんにちは。Blockchain Lab の高瀬(loloicci)です。 先日 gihyo.jp にて『Webエンジニアの新しい道 ~LINE Blockchain Labが拓くブロックチェーンの世界』 で取り上げて頂いたとおり、LINE Blockchain では WebAssembly (WASM) 形式のスマートコントラクトを実行する機能を開発しています。WebAssembly は名前の通り Web で使用することを想定して開発され始めた言語ですが、いくつかの特長から Web 以外の様々な分野からも注目を集めています。また、Blockchain におけるスマートコントラクトも WebAssembly に注目している分野の一つです。 この記事ではブロックチェーンにおけるスマートコントラクトの紹介と、スマートコントラクト分野がなぜ WebAssembly を注目しているのかを紹介します。 多くの分野から注目される WebAssembly WebAssembly は、JavaScript のみでは実現が困難であるような高い計算性能が必要となる
こんにちは。2020年の技術職就業型コースのインターンシップに参加した高橋です。普段は京都大学でアルゴリズムやデータ構造の研究をしています。インターンでは LINE Blockchain Lab に所属し、各種ブロックチェーン技術の調査や、それに基づく機能改善の提案などを行いました。この記事では、調査中に自分が面白いと思った技術、またインターンを通した感想についてお伝えできればと思います。 調査内容 ブロックチェーンについて ブロックチェーンについて、聞いたことがある人も多いのではないかと思います。ビットコインをはじめとした暗号通貨の基盤となる技術であり、最近では、DApp と呼ばれる分散型アプリケーションのプラットフォームとしても注目されています。一方で、技術の詳細については、まだまだ知っている人は少ないかもしれません。ブロックチェーンが実現するのは、「非中央集権的に意思決定を行う分散システム」です。順を追って説明します。まず分散システムとは、独立した複数のコンピュータが通信によって協調しながら特定のタスクを遂行するシステムのことです。たとえばインターネットは、情報交換を目的とした