LINEの広告プラットフォームの分析業務を担当するチームを紹介します

LINEの開発組織のそれぞれの部門やプロジェクトについて、その役割や体制、技術スタック、今後の課題やロードマップなどを具体的に紹介していく「Team & Project」シリーズ。今回は、LINE広告プラットフォームの分析業務を担当しているData Science室のAd Data Scienceチームを紹介します。

マネージャーの武川文則、仲村智に話を聞きました。

※関連記事:LINE公式アカウントの分析業務を担当するチームを紹介します

Ad Data Scienceチームのデータサイエンティストの皆さん

まず、自己紹介をお願いします。

武川:武川です。Data Science室でLINE広告関連の分析を担当するAd Data Scienceチームのマネージャーをしています。

仲村:仲村です。私は2020年6月に入社し、Ad Data Scienceチームの広告分析担当となりました。現在は、LINE NEWSの広告施策の分析や、兼務しているMachine Learning室のDSP MLチームにて特徴量開発をしています。前職では数理最適化に関する受託分析をしていました。

皆さんがLINEに入った理由を教えてください。

武川:前職では企業向けに受託でデータ分析を行っていましたが、分析結果を施策に反映するまでに非常に時間も手間もかかります。そのため、自社サービスを持ち、かつユーザー数の多い企業を探していたところ、ご縁があり入社しました。

入社前に期待していた通り分析から施策反映までの期間は短いですが、日々、Slackでは様々なチャンネルで議論が進んでいくので、そのスピード感は想像以上で、加えてやり取りのノリに慣れるまで少し戸惑いました。こうした状況に慣れていく上で、いわゆるtimes文化(社内チャット等で自分のチャンネルを持ち、短いスパンで発言する社内Twitterのような文化形態)があるのが非常に助かりました。Slackの個人チャンネルでブツブツ悩んでいると色々アドバイスをもらえるので、キャッチアップは非常にしやすかったように記憶しています。

仲村:LINEは分析結果のフィードバックを得やすい環境であると期待できたため、入社を決めました。

私も武川さんと同様に前職では受託分析を行なっており、コミュニケーションの取りやすい環境の方が分析が進むこと、分析結果が見えるとモチベーションに結びつくことに気づきました。その際に、LINEの自社サービスの分析業務を知人から教えてもらい興味を持ったことがきっかけです。

LINEに入社して感じたことは、機能の実装からリリースまでのスピードが予想以上に早いということです。自分の分析結果もリリースに即座に反映されるなど、結果がわかりやすい環境で働けていると感じます。

(左から右)仲村智さん、武川文則さん

今の仕事のやりがいを教えてください。

武川:広告領域の分析による施策反映は、収益に直結することがほとんどです。事業への貢献がわかりやすく、かつLINEの広告事業は収益の主力であり規模も大きくインパクトがあるので、やりがいを感じます。規模のイメージを持っていただくために具体的な数字をあげると、直近1年のディスプレイ広告売上は908億円であり、LINE広告面全体に効く施策のA/Bテストにより売上が1%向上した場合、単純計算ではありますが年間9億円程度の効果が見込まれることになります。もちろん、企画、関連プロダクトのソフトウェアエンジニアなど関わる方は多いのでデータサイエンティストだけの成果ではありませんが。

仲村:施策内容がリリースされるなど、自分の分析がビジネスと結びついていることが実感できるところです。例えば、LINE NEWSのとある広告のデザインについて、A/Bテストによって最適なフォーマットを判断する施策では、数%収益が向上しました。比率としては小さいのですがユーザー数が多いことから、少しの改善であってもインパクトとしては大きいものとなります。また、様々な業種の方と関わるために気づきが多く、色々な知識を得ることができるのも魅力です。

チームの構成や、業務内容について教えてください。

武川:現在Ad Data Scienceチームでは、3名のデータサイエンティストが広告分析業務を行っています。業務内容は大別して2つあります。

1つ目は、広告配信面であるLINE NEWSなどのmedia側のA/Bテストや機能開発支援を行い、収益の最大化を目指すことです。

例えば、LINE NEWSはMAUが7,500万人(2020年4月時点)というユーザー数のメディアであり、様々な分析を実施し、広告売上の成果に紐付けられるのはやりがいを感じやすいと思います。他にはトークリスト(旧スマートチャンネル)という、LINEのトークタブの最上部にさまざまなサービスのコンテンツを表示するサービスがあり、このサービスのうち広告に関わる分析があります。開発サイクルが非常に速く、そして売上に大きく貢献しつつ面白い開発を行っているサービスであり、売上貢献、スピード感、そして面白さを感じられると思います。

広告プラットフォームにおける効果検証データの一例

2つ目は、広告主様からの広告出稿を行うdemand側において費用対効果を最大化するための分析業務となります。アドホック分析が多く、オークションプレッシャーに関するもの等、多岐に渡ります。メンバーのスキルセットや志向によっては、分析だけでなく広告配信システム(Demand Side Platform)におけるCTR予測モデル等の特徴量開発に参加する場合もあります。

これら2つ、media側とdemand側の利益最大化は相反するもので、広告プラットフォームを提供する弊社として持続的に成長していける最適な状態になるようにデータ分析からの提案を行います。

Ad Data Scienceチームのマネージャー武川文則さん

チームメンバーを紹介してください。

武川:仲村さんは、私が前職のとき(それぞれは異なる会社)に開催していた「リー群と表現論」の輪読会で、あまりの数学強者ぶりが非常に印象に残っていた方です。隔週ペースで開催される1回2-3時間の輪読会でしたが、仲村さんが担当の際は1回で1章分読み進めていました。読んだことがある方なら、異常なハイペースであることがご理解いただけると思います。仲村さんも前職は受託データ分析の会社にいたこともあり、チームに誘いました。

LINEはmedia側、demand側の両方の広告事業を抱えているため、多くの関係者から様々な分析依頼や相談が来ます。そんな依頼にただ単に対処するだけでなく、相談された際に瞬時に課題の本質を見抜き、適切な課題設定をし、関係者を納得させ、そしてデータ分析結果から施策に移すまで実行する仲村さんは、LINEの広告分析業務の要です。

入社1年にしてLINEの広告分析業務の要である仲村智さん

井上さんは2021年6月入社で、前職では受託分析をされていました。それ以前はイスラエルに8年、アメリカで2年半ほど半導体の研究者をしていました。研究者としてのバックボーンがあるので、自ら課題設定し、自発的に動いていくことが身についているためか、業務へのキャッチアップが非常に早かったです。入社して2-3ヶ月で、収益インパクトの大きなA/Bテストや海外の分析案件を担当しています。

なお、仲村さんと私は素粒子理論、井上さんは物性物理を専攻していたので、たまたまですが2021年9月時点ではチームメンバー全員が物理学専攻の出身です(笑)。

利用技術・開発環境について教えてください。

オンプレのHadoop環境で主に以下のツール群を利用して分析しています。大規模なサービスの分析もストレスなく実行できる分析環境があります。

今のチーム課題と、解決に向けた取り組みを教えてください。

仲村:今というより常に抱えている課題ではありますが、「分析のための準備と分析速度のバランス」です。LINEの分析基盤はレベルが高く、現状データサイエンティストがデータ分析に集中できる状態にはあります。ですが、データ分析を更に効率的に進められると解決できる課題の幅が広がるので、中間データの整備やツールによる自動化などの準備に時間をかける必要があります。一方で、進行中の案件の分析はスピーディーに行う必要もあるので、そのバランスに悩んでいます。この解決のために、典型的な作業をテンプレート化して、A/Bテストでの単純な集計部分を効率化しています。また、典型的な分析作業はライブラリ化しており、チーム人数がボトルネックとならないようスケールさせることにも取り組んでいます。

時にはその分析自体が必要かを問い直すことも大事です。何が目的か立ち戻ると、実は単純な集計で良かったり、施策と無関係な不必要な分析だと判明することもあります。そのためには、プロジェクトに積極的に関与して,目的と取り得るアクション(施策)を把握し、何を分析するべきかを提案していくことが、結局は効率的な作業につながります。

また、ドメイン知識の獲得も課題です。データ分析の常ではありますが、事前に把握しておかなければならないことが非常に多いです。例えば、LINE広告をLINE NEWSなどのサービスと結びつけて分析するためには、LINE広告やLINE NEWSに関するドメイン知識やデータの内容を把握する必要があります。

この点については、受託分析とは違って関係者とコミュニケーションがとりやすい利点を活かしています。サービス担当者や企画担当者にはSlackを通じて積極的に質問したり、wikiやGithubを確認して自分の理解を整理したり、分析が途中だとしても適宜情報共有してアドバイスを得て手戻りを減らすなどして対処しています。

今後のロードマップを教えてください。

武川:今年の後半以降、いくつかのフェーズに分けて、LINE NEWSのユーザーごとに表示される記事と広告枠の数を可変にする開発を主導していきます。フェーズを分けるのはそれぞれの枠数の個人化ロジックを段階的に高度化するためです。収益貢献が大きい施策であることはもちろん、それに加えて技術的にも面白い領域だと思います。

仲村:適切な記事の配置や広告の件数は状況に応じて異なるものですが、ビッグデータの分析、そして機械学習によってその状況を踏まえたレイアウトを提供することを目指しています。機械学習の予測を実際のサービスに反映させるため、LINE NEWS側のエンジニアとも意見交換をしながら開発を進めています。なお機械学習モデルの開発に関しては、LINE Newsのログや、Z-featuresと呼んでいる機械学習のために整備されている特徴量の利用を検討中です。

最後に、Ad Data Scienceチームに興味を持ってくれた人にメッセージをお願いします。

武川:LINEは様々な広告関連プロダクトを抱えており、開発スピードも速いため、分析による貢献機会が多くとても面白い環境です。加えて、今後は世界的にWEB広告に対して様々な制約が増えていき、市場環境も大きく変化するので、WEB広告業界が未経験の場合は絶好のタイミングだと思います。

仲村:データの規模が大きく、分析結果がリリースと直結するなど、データ分析の結果が実感しやすい環境となっています。分析基盤も整っており、データ分析に集中して課題解決に繋げることができます。そのような環境で自分のスキルを活かしたいと思った方は、ぜひエントリーしてください!

Ad Data Scienceチームではメンバーを募集しています。