LINE BOOT AWARDSからSXSW EDUへ: SXSW EDUへの出展とStudent Startup Competitionでのピッチ

こんにちは、Developer Relationsチーム マネージャーの砂金です。昨年開催したLINEアカウントやClovaスキルを組み込んだサービス開発コンテスト「LINE BOOT AWARDS 2018」では、多くの皆様に参加いただき誠にありがとうございました。
LINE BOOT AWARDSでグランプリを受賞した西村唯さんが、テキサス州オースチンで開催されたSXSW EDUの学生向けスタートアップコンテスト「Student Startup Competition」で日本から唯一のファイナリストとして選出され、登壇されました。せっかくの機会ということで、レポートを書いていただきましたので、ぜひご一読くださいませ。SXSW(読み:サウスバイサウスウエスト)はスタートアップや新規事業担当の方々を中心に日本でも注目が高まり、私も参加しています。今回はメディアアーティスト落合陽一氏がプロデュースしたNew Japan Islandsという経済産業省の取り組みが話題となりました。

LINE BOOT AWARDS決勝での堂々としたプレゼンテーションもまだ記憶に新しいですが、グローバルな舞台での英語でのプレゼンテーションも、実に素晴らしいものでした。「当番」という日本独特な文化を”Duty Sharing”と言い換え、学校の掃除当番だけでなく夫婦間の家事分担などわかりやすい例を交え、プレゼンテーションと審査員からの質疑応答に対応してました。LINEは今後も新しいチャレンジをする若手開発者のみなさまを応援し続けます。

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N高等学校2年の西村 惟です。LINEで設定・通知できる当番お知らせBot・Toubans!を作り、LINE BOOT AWARDS 2018においてグランプリ&学生賞を受賞しました。

Toubans!とは

学校でよく使われる紙の手回し掃除当番表の抱える問題を解決するために作った掃除botを、広く社会にある当番でも使えるようにしたLINEで使えるサービス。

利用者は、LINEグループにToubans!のbotを招待するだけで利用ができるので、新たにアプリなどをインストールする必要はありませんも不要。

当番の内容や通知のタイミングをを設定するだけで、LINEグループのメンバー全員に当番の担当を通知するメッセージを自動的に送ることができます。

EdTech Japanブースでの展示

LINE BOOT AWARDS 2018グランプリを受賞した「Toubans!」は、2018年に未踏ジュニアというクリエーターを支援するプログラムに参加して作り上げたプロダクト。今回、SXSW EDUにおいて、未踏ジュニアが展示をするということで、「Toubans!」を、EdTech Japanブースに出展する機会をいただきました。SXSW EDUでは3/4~3/6の3日間展示を行いました。

今回、展示をするにあたって「Toubans!」の英語版を作って行きました。

こちらが展示ブースです。のれん、バナースタンドも僕がデザインしました。

ブースにきてくれた人に英語でプロダクトの説明をします。アメリカには「当番」という文化がないので、まずは「当番」というシステムについて説明する必要があります。

「日本には当番という文化が根付いている。タスクを分担するフェアな仕組みで、日本以外の国でも使って欲しい。このプロダクトはその当番を簡単に導入できるチャットボットだよ!」という形の紹介をしました。

アメリカに「当番」

次々と飛んでくる英語の質問に必死で答えます。プロダクトだけでなく当番自体に関する質問も多く聞かれました。
  • 日本ではどんなことに当番が使われているのか
  • 学校で当番制度を導入していることにはどんな意味があるのか
  • アメリカ人には合わないかもしれないがそこはどうアピールするつもりか

など、日本語でも答えるのが難しい質問に答えたことは、後のプレゼンでの質疑応答に役立ちました。

「当番」というシステムがアメリカ人にどう映るのか、多少不安でしたが、想像以上に反応がよく、興味を持ってもらえたという感触がありました。

今回、僕たちの未踏ジュニア以外でEdTech Japanに展示をしていたのは、AIなど最新技術を詰め込んだ癒し系ロボット「Lavot」や、そろばんを世界に広めるそろばん学習アプリ「SoroTouch」など、計6ブース。魅力的なプロダクトがたくさんあり展示を見るのも面白かったです。展示を通じて、それぞれの開発者の方々とも知り合いになることができ、Toubans!のピッチについても色々とアドバイスを頂くこともができました。

EdTech Japan出展者のみなさんと。素晴らしい展示を作り上げることができました。

Student Startup Competitionでのピッチ

今回参加したSXSW EDUでは、4つのCompetitionが開催され、そのうちの一つがStudent Startup Competitionです。Student Startup Competitionは高校生対象のスタートアップのピッチコンテスト。昨年までのファイナリストを見る限り、アメリカ国外から選出されたチームはなさそうでしたが、せっかくSXSW EDUに参加するので、思い切って応募してみました。

Student Startup – SXSW EDU
https://www.sxswedu.com/competitions/student-startup/

コンテスト通過に喜び&驚き!?

ファイナリスト通過のメールが来たのが、ピッチコンテストの約1ヶ月前。正直、通るかどうか微妙だと思っていたので(Toubans!は本来事業化目的のプロダクトではなかったのでマネタイズ周りが弱かった)、通過のメールを見たときは、驚きと同時に、「英語のピッチをどうしよう」という不安がよぎりました。

そこから、英語版のプレゼンを考える日々が始まりました。アメリカには「当番」というシステムが根付いていないので、「当番」というシステムの説明とそれを自動化するメリットをいかに魅力的に感じてもらうかを重視しました。

僕の英語力ですが、正直に言って、学校英語以外はふだん英語のYouTubeを見るくらい。ただ、幸いなことに父親が英語が堪能だったので、英語の表現や発音などはかなりブラッシュアップしてもらうことができました。

「当番を知らない人にとって、わかりやすいかどうか」をとことん追求しながら、5分という短い時間で「当番」という概念とToubans!の説明をまとめることはとても難しく、何度もスライドを作り直したり、入れ替えたりと試行錯誤を繰り返しました。

現地でもとことん追い込まれる

出発までに、なんとかプレゼンは形になってはいましたが、本当にそれで良いのか不安なまま現地に到着しました。海外は2度目ですがアメリカははじめて。何もかもがスケールが大きい風景に、アメリカに来たんだなあと実感。

現地に到着してからも、毎晩同行していただいた未踏ジュニアの鵜飼さんにブラッシュアップをしてもらいました。

しかし、試練はそこからでした。ピッチコンテストは現地時間の3/6の15時から、その前に各チーム15分ほどのコーチングセッションがあります。コーチングでは、プレゼンのパフォーマンスは褒められましたが、内容について、「もっと日本で実際にどのような使われ方をしているかを知りたい」とのアドバイスを受けました。

メンターの前でコーチングセッション。プレゼンを1回通してフィードバック、という流れです。

コーチングセッション後、本番までの約2時間で、スライドを入れ替えたり、コメントを練り直したり、と大幅な変更を加えることになり、最後は移動時間の間もずっとプレゼンを頭に叩き込むために練習を重ねました。この2時間は人生でも最大に追い詰められていましたね。周りの人や音を完全に無視して、自分だけの世界で必死に練習をしました。

本番ギリギリまでひたすらスライドを調整&練習

ピッチコンテスト本番は、まさに無我夢中でした。ステージの上では、スクリプトを見ることができないルールだったので、頭の中にあるものがすべて。緊張して、頭が真っ白になったらおしまいです。本番を待つ間は、正直怖くて怖くてしょうがなかったです。

当日会場には、200名位の観客がいましたが、日本人の方も多数応援に駆けつけてくださったそうです。僕自身は緊張のあまり、観客をじっくり見る余裕はなかったですが。

Toubans! pitch at SXSW 2019 – YouTube

本番の記憶はほとんどありません(笑)。しかし、大きなミスもなく、終わった後の周りの反応が全体的に良かったので安心しました。

5分間のピッチはなんとか終えましたが、その後に英語での質疑応答があります。もちろん、質問は本番まで知らされていません。次々と飛んでくる英語の質問に、つたない英語で必死に答えたのを覚えています。

コンテストの結果は、残念ながらクランプリには選ばれませんでしたが、現地の方にも「I am very impressed!」と声を掛けられたりしました。自分としても出せる力は出し切ったという状態で、まるで抜け殻のような状態で会場を後にしました。

間違いなく貴重な経験

コンペティション後、ファイナリスト達と
コンペティション後、ファイナリスト達と

今回のピッチコンテストは、自分の実力以上の力が必要とされる経験でした。正直、ここまで「追い込まれる」という経験は今までなく、当日はまさに「なりふりかまわず」になった自分がいました。しかし、終わってみれば、自分の限界点を上げることができた貴重な体験だったと思います。

今回のことで、もっともっと英語を勉強したいというモチベーションも生まれました。

SXSWはとても刺激的なイベントなので、来年もコンペティションや展示などで参加できればと思っています。

僕にとって「Toubans!」は自分の身近にある問題を解決することから生まれました。それが、色々な縁をいただき、こうやって遠く離れた国の人にまで届いたのです。ここまでこれたのは、LINE BOOT AWARDS 2018や未踏ジュニアでお世話になった方々のお陰だと思っています。この場をお借りして、心からお礼を申し上げます。