LTOドライブを使ってみた

この記事はLINE Advent Calendar2018の4日目の記事です。

こんにちは、LINEメッセージングアプリの Android Client の開発を担当している玉木(@r_ralph_h)です。
この記事では、あまりコンシューマー向けには馴染みのない「LTOドライブ」について、実際に使ってみて紹介する記事になります。

LTOドライブとは

LTOの正式名称は Linear Tape-Open で、磁気テープメディアの一種になります。一般にもよく聞く有名どころの磁気テープメディアだと、オーディオカセットテープやVHS、8mmビデオテープなどがあります。 テープメディアは比較的メディアの容量あたりの単価が安いのが特徴です。また、LTOドライブは長期間の保管に向いている(公称値で最適な温湿度下で約20年程度)という特徴があります。 LTOドライブ自体はエンタープライズ向けの規格になっており、最新規格で揃えようとすると数百万円は下らないという感じになっています。

LTOドライブの規格について

LTOドライブの規格はおよそ2-3年ごとに新しい規格が登場しており、古いものから順にLTO-1LTO-2という名前になっています。 最新のものは2017年に出たLTO-8で、1メディアあたり12TB(圧縮時最大30TB)の容量を実現しています。 規格が新しくなるごとに容量が増えたり、読み書き速度が上がったり、付属的な機能(暗号化機能や専用のファイルシステムの登場など)が追加されたりといった進化をしています。 規格間での互換性は1つ前の世代への読み書き、LTO-7以前は2世代前までの読み込みをサポートしています。

なぜLTOドライブを使ってみるのか

個人的な趣味でカメラを触っており、その撮影データにより手元のストレージがどんどん圧迫されていました。 追加のバックアップ先として普通のHDDやBlu-rayなどの光学デバイス、各種クラウドストレージなどを考えていましたが、何か普通と違うもう少しチャレンジングな方法をやってみたいなぁと思っていました。 そのようなときに友人からLTOドライブの存在を聞き、調査の上で導入を決定しました。

必要な機材と組み立て

今回LTOドライブを使用するにあたり、LTO-5の規格を使用することにしました。 LTO-5からLTFS(Linear Tape File System)と呼ばれる専用のファイルシステムが使用可能になり、USBメモリなどの通常のメディアと同じような感覚で扱うことが可能になっていたためです。 LTO-4以前、もしくはLTO-5以降でもLTFSを使用しない場合はテープの制御を行うコマンドとしてmt、読み書きを行うコマンドとしてtarなどを使用して記録を行うことができます。(今回自分も初めて知りましたが、tarTape ARchivesの略で元々テープドライブでの使用を想定していたものらしいです。) 基本的にLTOドライブは新品では出回っておらず、データセンターなどからの放出品や中古品といったものをオークションサイトなどで購入する形になります。 LTO-5のドライブは現在大体5万円前後で購入可能になっています。

 

LTOドライブを搭載したPCの作成は、自作PCを作成するのとほぼ同じです。 私が購入したLTOドライブはHewlett Packard社製の「Ultrium 3000 BRSLA-0904-DC」になります。 このモデルのドライブは5.25インチベイと同じ規格の大きさのため、普通の光学ドライブのように載せることができます。ただし、奥行きが普通の光学ドライブより10cmほど長いため、ケースサイズによっては入らなくなってしまう可能性もあります。 またこのドライブはSAS規格のデバイスであったため、必要であればSASカードなどのHBAカードを追加で用意するか、SASのHBA機能が内蔵されたマザーボードを用意する必要があります。 今回はドライブと同じくHP社製の「HP LSI SAS 9212-4i」のSASカードを使用しました。このカードはSATA端子のポートが4つ備わっているタイプになります。 SASカードには他にもSFF-8087と呼ばれる端子を備えたものがありますが、4つのSASデバイスを単一のケーブルで繋げられるようにするためにケーブルが太くなってしまっているため、取り回しのしにくさからSATA端子を備えているものを選びました。 LTOドライブ側はSFF-8482と呼ばれるデータ線と電源が同一になった端子(SAS接続のHDDで一般的に用いられている端子)が使用されています。このSFF-8482タイプの端子はアダプターをかませるだけでSATA接続のHDDと同じようなSATA端子のデータ線と電源に分けられるため、必要分だけ挿せば良いSATA端子付きのSASカードが便利です。

LTOドライブを外した状態(左)と実際に取り付けた状態(右)

今回新しくLTOドライブ専用のPCを組み立てるに当たり、できる限り小さくしようとしたためキツキツになってしまいましたが、基本は自作PCと手順は同じです。

実際に使ってみる

OSはWindows 10 Proを使用しました。最近のWindowsはデフォルトのドライバで正常に動作することが多く、今回もLTOドライブも追加のドライバなどをインストールせずに使用できました。

この状態になってしまえば先程紹介したmtコマンド等で操作自体は可能なのですが、今回はLTFSを使うためにLTO-5の規格にしたのでLTFSを使用してみたいと思います。 LTFSを使うためには追加のソフトウェアとしてドライブのベンダーが提供しているLTFS用ソフトウェアが必要になります。 各ベンダーごとのソフトウェアはLTOの策定団体が一覧を公開しています。(一覧:https://www.lto.org/technology/ltfs/ltfs-compliance-verification/ )

「Ultrium 3000 BRSLA-0904-DC」の場合は「HP StoreOpen Standalone」を使用することになります。

このような感じでドライブレターが割り当てられ、LTOメディアを挿入すると普通のドライブと同じように扱うことができます。

まとめ

LTOドライブは性質上ランダムアクセスに非常に弱く、LTFSを使用した際のファイルへの上書き処理でも今までファイルがあった領域を使用不能とマークして新しい領域に書き込む(=差分のバイト数だけ消費するのではない & ファイルサイズを減らした更新でも容量は回復しない)特性から、一度書き込んだら上書きはしないデータに対して使用するのがお決まりのようになっています。

LTOドライブ自体は中古でもある程度の値段はするものですが、それに対してメディア側はLTO-5用カートリッジで実売価格3000円程度とそこまで値が張る物ではありません。特殊な機器が必要で扱いが難しいという点はありますが、HDDに比べて耐振動性などでは有利に立てるのではないでしょうか。

ちなみに、単純計算で考えると4TBのHDDの実売価格が8000円台なので、LTOドライブの1.5TBのカートリッジを買い足していくのは金額面では結局高くつく事になってしまいます。

実際に使ってみた感想としては、値段面では高くついてしまうものの、テープ型という夢と駆動音がすごくかっこいいというので非常に楽しかったです。

明日の記事は、hktechnoさんとcpulabsさんによる「LINE Things でつくったプロトタイプデバイスの話」です。

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