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LINE LIVE クロージング連載 Vol.4 - CMS 終了編

こんにちは、開発3センターの Yu です。
現在は LINEドクターのサーバ開発チームに所属しております。

この記事は、2023年3月末にサービス提供を終了したライブ配信サービス「LINE LIVE」において、今まで行ってきた施策の紹介や大規模サービスならではのクロージングに関わる話を連載するシリーズの4本目の記事です。

はじめに

2015年の初リリース以来、7年以上にわたりライブストリーミングサービスを提供してきた LINE LIVE が、2023年3月をもってサービスを終了することになりました。
LINE LIVE CMS はパートナー企業を中心に、LINE公式アカウントを通じて配信したり管理する機能を提供してきました。
海外に向けて展開もしていたため、各国の事情も考慮したサービス終了の計画と実行をする必要がありました。

本記事では、LINE LIVE CMSのサービス終了に際して考慮したポイントや、 phase ごとにどのような対応を行ったかを紹介します。

サービス終了時の考慮事項

サービスを終了する際に、大きく分けて下記3点の考慮が必要でした。
これらを満たすために2段階の Phase に分けて作業計画を立てたので、そちらも順に紹介します。

1. 国ごとにサービス終了のタイミングが異なる

LINE LIVE CMS を使った配信サービスを展開しているのは日本(JP)、台湾(TW)、タイ(TH)、インドネシア(ID)の4カ国で、利用率は下図のようになります。

利用率が一番高い JP にてサービス終了時刻を2023年3月31日の15時と定義した上で、各国にサービス終了に向けたヒアリングをしていました。
ヒアリングを行った結果、 TW と TH ではしばらくサービス提供を継続したいという要望があったため、まずは JP と ID でサービスを終了して、追って TW と TH でサービスを終了する計画を立てて準備を進めていきました。

2. JP でも配信以外の機能を一定期間は使えるようにする

JP では7年以上サービスを提供してきましたので、コンテンツプロバイダーやパートナー企業ごとに蓄積してきたデータも大量にあります。
サービス終了と同時に全ての機能を利用不可にすると、今までサービスを利用し続けてきたユーザに混乱を招く恐れがあると判断し、一定期間の猶予を設けることにしました。

そのため、ストリーミング配信以外の過去配信動画のダウンロードなど一部サービスに限り引き続き提供する必要がありました。

3. エンジニアの稼働を最小限に抑える

JP 向けのサービス終了と同時に、チームのメンバーは他のサービスプロジェクトチームに異動して新しい業務を進めることになります。
引き続き兼務として残タスクを処理するメンバーはいますが、その作業のための稼働は最小限に抑えるべきでした。

作業計画と実行

上記の考慮事項に従い、以下のように段階的にサービス終了作業を進めることにしました。
なお、ID では運用規模が小さいため JP の運用チームから十分な事前告知をすることで、特別な対応なくサービス終了ができるように調整しました。
そのように社内の各部署と協力し合うことで、開発チームは最も大きい JP のサービス終了や TW と TH の特別対応に集中しました。

開発方針としては、ショットで実行するスクリプトを用意しておくことで、担当のエンジニアがいなくても引き継ぎの情報だけで実作業ができるようにしました。

Phase1. JP のサービス一部終了

Phase1 では JP に対して配信機能を停止しつつ、TW と TH のサービス利用には影響を出さないことが最優先事項でした。そこで私たちは、配信開始時に特別なチェックを入れることで対処しました。
LINE LIVE では生配信するために別の部署が運用しているストリーミングサーバを利用しますが、そのストリーミングサーバとやり取りするためには、ストリームキーというものが必要になります。
ストリームキーは特定の配信を区別できる識別子の役割を果たすもので、配信者が配信を開始するときには必ずストリームキーを使った認証処理を通ります。

配信を開始するまでの簡易的なフローを以下に示しつつ、どのようなチェックをしたか紹介します。


私たちはストリームキーに紐づいている配信者の国コードを参照し、 JP の場合のみ配信を開始できないように対応しました。こうすることで、TW と TH の LINE LIVE CMS ユーザーに関しては通常通り配信サービスを利用できるようにしました。

しかしこの場合、JP でサービス終了時刻を跨いで配信しているものを自動で中断することはできません。これについては、社内運用者向けの CMS に配信を強制中断させる機能があるので、それを活用することで対処する計画としました。LINE LIVE CMS を使った配信は母数が少ないのと、もともとサービス終了を告知しているので手運用でも問題ない想定でした。

また、JP の利用者に関しては引き続き配信サービス以外のアーカイブダウンロードや配信履歴の確認などができるように、一部ページへのアクセスを制御する対応を行いました。

Phase2. 全てのサービス終了

Phase2 では、残りの TW と TH に対して LINE LIVE CMS の提供を終了することでした。そのためには大きく分けて2つの作業が必要になりました。
1番目は残りのアカウントに対して LINE Official Account Manager から LINE LIVE CMS へのアクセスリンクを解除することでした。
こちらは OA チームと相談した結果 OA チーム側で LINE LIVE CMS のアカウントに対して一括で削除処理を行うように調整しました。

2番目は Sunset サーバを活用することでした。Phase2 の作業タイミングで墓場サーバを利用し、全てのアクセスに対してサービス終了案内ページを表示するようにしました。
事前に用意しておいた Sunset サーバを使うことでエンジニアの工数も最小限に抑えることができました。

終わりに

私は2021年12月に入社してから、約1年半の間に LINE LIVE サーバー開発チームで様々なタスクに携わってきました。
特に LINE LIVE CMS に関しては、既存配信フローを一部変更する影響範囲が広いタスクや CP からの入信を即時最優先で対応するなどチャレンジ的ことも沢山ありました。
その度にチームのメンバーや関連部署の皆さんと協力し合うことで、1つずつやり遂げることができたと思います。

多くの情熱が注がれたサービスが終了してしまい非常に残念ですが、今まで LINE LIVE で学んだことを基に、新しく携わっていくサービスで生かして行ければと思います。
ありがとうございます。