Developer Relations はエンジニアにどんなキャリアの可能性をもたらすのか

LINEで働くエンジニアtokuhiromが、同じくLINEで働くエンジニアにいろいろと話を聞いていく連載「LINE Engineer Insights」。第9弾はDeveloper Relations(DevRel)チームの藤原聖(@satorufujiwara)さんに、LINEに入社した経緯や、DevRelチームの業務内容、そこでの担当業務などをインタビュー!藤原さんには、DevRelチームでの経験は「自身のエンジニアキャリアにどんな可能性をもたらすのか」なども語っていただきました。

ざっくりまとめると

  • DevRelチームの業務は大きく分けると、エバンジェリスト活動とTechPR活動
  • TechPR活動の最終ゴールは、いい人材の獲得。そのため採用も管轄内
  • コミュニティ活動や社外イベント・勉強会の登壇、OSS支援も注力していく
  • 入社後研修は充実、GitHub Enterpriseはフルオープン

LINE DevRelチームに入社したきっかけ、経緯は?





── tokuhirom:
よろしくお願いします。LINEに入社されたのは昨年でしたよね。どういう経緯でLINEに入社することになったのかを教えてください。





── 藤原:入社は2018年8月1日なので、半年ちょっとになります。前職の会社では約7年働いていましたが、最初はAndroidエンジニアという立場で仕事をしていました。2年前ぐらいからは人事寄りというか、今の仕事に近い採用や採用PRに従事していました。あるタイミングで「カジュアル面談してみないか」と声をかけてもらい、今の上司の砂金さんに会って面談をしました。

実はそんなにLINEのことを知らなかったんです。もちろん、サービスのこと、エンジニアがたくさん働いていることは知っていたんだけど。砂金さんの話を聞いて「面白そうな会社だな」と。ちょうど、転職を考えていたタイミングでもあったので、あれよあれよという間に入社しちゃいました(笑)





── tokuhirom:
そういった経緯だったんですね。





── 藤原:はい。入社の面接といっても、ただの飲み会というか(笑) CTOのイビンさん、DevRelチームの砂金さんと櫛井さんの3人と、居酒屋の個室で飲みながら今後やりたいこと等を意見交換しました。

最も印象的だったのは、個室に入った瞬間にイビンさんに「よろしくお願いいたします。いつ入るんですか?」と言われたこと(笑) とにかく第一印象が良かったですね。それが昨年の5月中旬で、それから選考に進んでいきました。





── tokuhirom:
藤原さんが転職を考えていたタイミングで、こちらが声をかけたことが功を奏したと。





── 藤原:前職では、1年半ごとに自分の市場価値、どういうポジションがあって、どういうところで活躍できるのかなどを考え、部署を異動していました。最後は人事にも所属していましたし。

つまり、1年半ごとに会社に残るか残らないかを自分でジャッジをしており、ずっと残る選択肢をしていたのですが、今回は出ることを選んだんです。すごくいいタイミングでした(笑)

LINE DevRelチームの活動内容





── tokuhirom:
僕は社内でもDevRelとやりとりしている頻度は高い方なんですよね。とはいえ、この記事を見ている人は知らないと思うので、改めてDevRelとは何をしている部署なのか、教えてください。





── 藤原:日本のDevRelチームは10人ほどいて、DevRelの業務は大きく2つに分かれます。1つはエバンジェリスト活動。対外的にLINEのAPIをより多くの方に活用してもらうための活動です。もう1つは、TechPR、LINEの技術や文化を世の中に広めていく活動です。

TechPRの最終的なゴールは、一人でも多くの優秀なエンジニアに入ってもらうことなので、採用領域もDevRelの管轄になっているのです。このような採用マーケティングは外部向けだけではなく、満足して働いてもらえるように入社後のケアについても、人事と連携しながらカバーすることも行っています。

私が重心を置いて担当しているのはTechPRの中でも採用と、入社後のケアの2つで、それらを全般的に担当しています。





── tokuhirom:
社内向けの勉強会のサポートもしていますよね。





── 藤原:そうですね。社内だけではなく、外部向けの勉強会、LINEが使っている技術コミュニティのサポートもしています。もう1つ、DevRelチームでの私の業務として、オープンソースマネジャーがあります。オープンソースマネジャーは韓国のDevRelチームにもいるのですが、地理的に離れているので、日本側は私が担当しています。

GitHub.comでのLINEのオーガニゼーションのメンテナンスをはじめ、「社内でオープンソースを出したい」「OSSにコントリビュートしたいんだけど、どうやってライセンスを決めたらいいのか」という相談のサポートもしています。これは面白い仕事ですね。海外のOSS活動が盛んな会社だと、専任のチームがいたりするぐらい。ゆくゆくはチーム化もしたいと考えています。







── tokuhirom:
日本以外にもDevRelチームがあるんですね。





── 藤原:拠点ごとにあって、国内は東京と福岡。海外は韓国、台湾、タイ、インドネシアにあります。





── tokuhirom:
海外拠点のメンバーと密にコミュニケーションをとっているんですか?





── 藤原:韓国側のチームが大きいので、定期的に年1回は集まり、情報交換をしています。あとは出張した際に飲みに行ったりするぐらいですね。韓国以外のチームの人とは年1回会えるかどうか、くらいのペースだと思います。今は個別で会うことの方が多いです。
最近だと、台湾にてLINEのプラットフォームやLINEで使われている技術に興味のあるエンジニアが800名ほど参加する技術イベント「LINE Taiwan TechPulse」というイベントが開催されました。そのイベントの打ち上げで、台湾のDevRelチームと片言の英語で話ながら、お酒を飲みましたね。5月に開催されるGoogle I/O 2019には各国のDevRelチームのメンバーも参加する予定なので、「現地で集まろう」という話もしています。





── tokuhirom:
採用も管轄範囲という話でしたね。どういう活動をしているのでしょう。





── 藤原:昨年末から、エンジニアの新卒採用と中途採用のチームも兼務してるんですね。そこから発展して、今年からチームを作って、国内の新卒エンジニア採用と海外の新卒エンジニア採用の活動をしています。

エンジニア採用に関しては採用チームとDevRelチームとの連携は必須なので、そのハブの役割を担っています。前職では採用をやっていたので、そのキャリアを活かしている感じです。今年からはグローバルな採用活動も始めて、毎月のように海外に出張しています。1月はインド、2月はアメリカ、3月末は香港に行く予定です。





── tokuhirom:
海外での採用活動は現地の学生を採用するためですか。それとも日本から留学している学生を採用するためですか?成果はどうですか。





── 藤原:現地の学生を採用するためで、インドは1人内定者がでました。アメリカはインターンの実施に向けてやり取りを始めているところです。海外での活動は2種類あって、1つは現地の採用イベントにLINEとしてブースを出すこと。もう1つは大学とのリレーション。就職課のようなところに挨拶をしに行ったり、学内でキャンパストークを開いたりしています。

インドは採用イベントを経由して採用できたんですけど、アメリカではまだ成果が出ていません。ただ、アメリカでキャンパストークを実施したところ、インターン応募がかなり殺到してします。カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)から10人ぐらいインターンの応募が来ています。





── tokuhirom:
インターンの受け入れ枠って、10人もありましたっけ?





── 藤原:そんなには受け入れてないので、応募してくれた学生の中から選考をして決めてます。合格率はかなり狭き門になるでしょうね。

 

エンジニアにもっと外部に出てほしい





── tokuhirom:
話をちょっと変えて、プライベートな活動についてお聞きします。藤原さんはコミュニティ活動に積極的に取り組んでいますよね。





── 藤原:4~5年前から「Shibuya.apk」というAndroidエンジニアのためのコミュニティをコツコツと続けています。2カ月に1回ぐらいの頻度で開催しています。同様に「日本Kotlinユーザグループ」というコミュニティも、2~3年前からオーガナイザーの1人としてとして運営しています。2018年には「Kotlin Fest 2018」というカンファレンスも開催しました。





── tokuhirom:
LINEに入社するにあたり、そういうコミュニティ活動が継続できるか不安はなかったですか。





── 藤原:ありました(笑) 実はLINEのエンジニアがあまり対外的なコミュニティに参加していないという印象を持っていたので。技術系のイベントや勉強会の登壇なども、露出も低かった時期があったと思います。外から見ると、そういうことが制限されているのかと思いました。
ですが、私は対外的な活動は必要だと思っており、自分としてもやりたいと思っていたので、砂金さんに会った最初のタイミングで質問をして、確認しました。





── tokuhirom:
そうなんですよね。エンジニアがもっと社外で登壇したり、情報発信したりするようになるといいなと僕も思っています。例えばJavaのコミュニティで、LINEがJavaで書いているのを認知されたのは、ここ3~4年ぐらいのこと。地道にやった結果、だんだん認知されてきた感じなので、もう少し対外的なTechPRもやらなければと思っています。





── 藤原:Javaもそうですが、「LINEのサーバサイドはKotlinが多いよ」と、Kotlinコミュニティでも発信しています。





── tokuhirom:
認知してもらえるまでには年単位で時間がかかるので、地道にやらないといけないなと思っています。





── 藤原:本当に。これがDevRelの仕事なのか、各個人のエンジニアがコツコツやるのか、その両方なんだと思いますが、最近はそういう文化がLINEにも出来つつあってうまく回りはじめていますよね。

 

入社後研修の充実ぶり、GitHub Enterpriseのフルオープンに驚き





── tokuhirom:
先ほど、LINEにはあれよあれよという間に入ったという話でしたが、LINEに入ってからはどうでしたか?





── 藤原:そうですね。自分のキャリア形成の中で、いつかは「多国籍な社員がいる企業で働く経験をしたい」と思っていたので、LINEへの転職はそれを求めたところもあります。LINEに入社して自分が思っていた以上に感動したことがあり、入社後すぐにツイートしたんです。





── tokuhirom:
どういうツイートをしたんですか?





── 藤原:入社前後のフローが誰もがわかりやすいように、しっかり仕組み化されていることに対する感動のツイートです。例えば入社数日前からオンライン上で必要書類の提出ができたり、入社後のオンボーディング(研修)が充実していたり。入社初日にLINEの一員になったと感じられました。





── tokuhirom:
たしかにしっかりしている気がします。OJTとかも充実していますよね。





── 藤原:OJTで一番、すごいなと思ったのは、CTO自らLINEのエンジニアカルチャーを伝えるというもの。忙しいはずなのにちゃんと時間をとって新入社員向けにやっている。その本気度。それが大切だと思っていることが伝わりました。





── tokuhirom:
イビンさんの話は評判いいみたいですね。LINEが大事にしている価値観は「LINE STYLE」という冊子にまとめられており、外にも出していますよね。
※LINE STYLE BOOKはこちらLINE_STYLE_BOOK 





── 藤原:そうした価値観の言語化、仕組み化を浸透させる専門のチームがあるなど、すごく工夫されているなと。





── tokuhirom:
ほかに入社して「これは驚いたな」「LINE、すごいな」ということがあれば教えてください。





── 藤原:入社して驚いたことが2つあります。1つはGitHub Enterpriseがフルオープンになっていることです。誓約書へサインをする必要などはもちろんありますが驚きました。





── tokuhirom:
GitHub EnterpriseはLINE本体のコードも含めて基本、エンジニアであれば全員が見られるようになっていますからね。
僕は一昨年・昨年はずっと、LINE本体にSDKを組み込み、運用型広告のプラットフォームを開発していました。ある時、「スペックと違う挙動をしているような気がする」と営業から連絡があったときに、GitHub EnterpriseでLINE本体のコードをしっかり読んで対応したんです。Objective-CとSwiftが入れ混じっていて、読むのはかなり疲れました。Androidの方はJavaとKotlinでしたね。





── 藤原:Kotolinが30%くらいなので、けっこう頑張っていると思いますよ。





── tokuhirom:そんなにKotlinって使われています?





── 藤原:クラスベースなので。それぐらいです。





── tokuhirom:
行数ベースだとJavaの方が多いですよね。





── 藤原:断然多いです。それでLINE本体のコードを読んでデバッグしたんですか?





── tokuhirom:
はい、そういうことをやっていました。





── 藤原:僕もDevRelですが、GitHubのアカウントを持っています。何でも見られるのですが、一番興味があるのはLINEのAndroid版。見ていると1日が終わってしまう。面白すぎて沼ですね(笑)





── tokuhirom:
例えばCSVを出して、それをCMSから配信するような仕組みを作る場合に、どのように実装するかを迷った場合、ライブラリの名前で検索したりすることができる。社内での技術トレンドの把握が容易になっていますね。GitHub Enterpriseがオープンになっているおかげで、いろいろ便利ですよね。

実際使って見てどうだったのかも担当者に聞くことができるし、僕はそういうオープンなコミュニケーションできる環境が、LINEの良さだと思っています。





── 藤原:もう1つ驚いたことは、「Confluence」というドキュメント管理ツールが導入されているのですが、それが充実しまくっていること。多様性がある会社だから、その必要性に駆られてなんでしょうけど、ドキュメント文化がしっかりしていることもすごく良いことだと思います。ミーティングも基本的にログを残しますからね。





── tokuhirom:
おそらく、先人が苦しんだ結果なんだろうけど(笑) LINEは、言語が違うメンバー同士で会話しながらプロジェクトが進むので、ちゃんとドキュメントに落としておかないと、後に齟齬が生じることになるので言語化・ドキュメント化はしっかりしているんでしょうね。

DevRelでの経験はエンジニアとしてプラスなのか





── tokuhirom:
あと1つ聞きたいのは、藤原さんのロールだとコードは書きませんよね。それはエンジニアのキャリアパス的にはどうなんでしょう?今後、エンジニアに戻る気持ちはありますか?





── 藤原:今は完全に書いていませんが、前職でも最後の方は、そんなにコードは書いていなかったですね。

私はLINEのDevRelでキャリアを積むことに次の2つのメリットを感じました。1つは採用・人事領域を経験することで、エンジニア1本の道を進むより、フルスタックエンジニアのように価値がある人材になれると考えたこと。

もう1つは、自分がやりたいこと、実現したいことのための最適な方法として、今はDevRelというキャリアを積むべきという考えがあったからです。だからDevRelをやっていますが、いつかはエンジニアに戻ってもいいとも思っています。

そのためのキャッチアップなど、それなりの努力は必要ですが、やれる自信はあります。tokuhiromさんも室長としてマネジメント業務が忙しくて、これまでのようにコードは書けなくなっているんじゃないかなと思いますが、キャリア的にはどう考えていますか。





── tokuhirom:
現場のエンジニアとして活躍する場合、プログラミングが楽しい一方で、1つの機能の担当として実装することが多いですね。マネージメント層として活動する場合、雑務も増えて大変ですがプロダクト全体の設計を担当することができて、世の中により大きな影響を与えられるようになる点が楽しいですね。





── 藤原:書いたコードだけで多くの人に影響を与えるスーパーエンジニアはたしかにいますが、そこで影響を与える範囲よりも、人をマネジメントしたり、人を多く動かしたりすることで与える影響の範囲の方が社会的に大きいことが多いと思うんです。

自分の力をエンパワーメントするという意味でも、DevRelやマネジメントのキャリアは自分を成長させると考えています。エンジニアとしてキャリアを積んだ上で、マネジメントをやってみたら、成果も出たし、面白くなってきた感じです。





── tokuhirom:
いいですね(笑) DevRelにもっと人が来るといいなと思っています。

マネジャーは採用に積極的だし、新人も採用イベントには積極的に出てくれるし、協力的な会社ですよね。





── 藤原:ありがたいです。LINEのエンジニアの開発文化のひとつにTRUST AND RESPECTという考え方があるんですが、実際、お互い信頼して尊重し合って、プロフェッショナルとして仕事をしている雰囲気があります。
※エンジニアの開発文化についてはこちら:https://engineering.linecorp.com/ja/culture/





── tokuhirom:ありがとうございました。さて、今回から次回登場してもらう人を指名してもらうリレー形式にすることにしました。藤原さんは、社内でどの人の話を聞きたいですか。





── 藤原:先ほどの話にも繋がるんですが、LINEにはマネジメントラインと、エンジニアとしてエキスパートのキャリアパスがあります。どっちを選ぶのかはその人次第。しかもマネジメントラインの人が全部みんなエンジニアなんですよね。例えば、Financialの担当をしている池田さんは入社2年で執行役員になりました。エンジニアのキャリアパスとして社内にそういうポジションがあるのはとてもいいことだと思っています。

もう1つの、技術的な影響力が評価されるエキスパートラインでは、今年からフェロー制度が導入されました。その第一号である並川淳さんの話を聞きたいですね。技術力を突き詰めていくキャリアの先に何があるのか。そんな話を期待しています。





── tokuhirom:
藤原さん、ありがとうございました!次回、並川さんのお話を楽しみにしてください。

 

 

 

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