LINEで働くエンジニアにいろいろと話を聞く「LINE Engineer Insights」。LINEの技術組織で働く個々人に、何を重視して技術者としてのキャリアを歩んでいるのか、今LINEで何に取り組んでいるのか、今後実現したいことなどを聞いていきます。
今回インタビューするのは、京都開発室に所属し、日本最大級のデリバリーサービス「出前館」のサーバーサイドエンジニアを担う東山昌彦。 彼はもともとAIアシスタント「LINE CLOVA」の機能開発を担うAIエンジニアとして自然言語処理の研究・開発をしていました。ですが、ある理由から「出前館」のサーバーサイドエンジニアに転身したのです。その裏側にあった、プロダクト開発への思いとは?

「LINE CLOVA」は「自分も使ってみたい」と思えるプロダクトだった
――今回のインタビューでは、東山さんのキャリアを学生時代から現在までたどっていきます。関西の大学で機械系の学科に所属し、大学院では情報系の研究科に移って自然言語処理の研究をされたのだとか。IT系のエンジニアリングに興味を持ったのはなぜですか?
大学時代は機械系の学科だったものの、当時からWebプログラマーとしてアルバイトをしていたんですよ。アルバイト先には、Linuxの日本語入力に関するOSSの開発をしているような優秀なエンジニアがいました。その人から「( Linuxのチャットアプリで日本語表示の設定方法がわからない時に)ソースコードを読めばわかるよ」と言われたことが衝撃的で。世の中にはなんてすごい人がいるんだと思いました。
その影響でコンピュータサイエンスについて学ぶのが楽しくなり、大学院で自然言語処理の研究をしました。その後、大学院で学んだことを活用できると思い、ポータルサイトを運営する大手企業に就職したんです。ただ、実際にはなかなか自然言語処理を実務で活かすことはできなくて、検索サービスやメールサービスのサーバーサイドエンジニアを担当しました。
次に転職したのが、R&D系のプロジェクトを受託しているSIerです。そこでは機械学習やレコメンドに関する研究・開発を担当しました。さらに、サイト内検索や広告系のシステムを開発している会社で働いた後、LINEに転職したという流れです。
――転職先としてLINEを選んだのはなぜですか?
転職を考えたタイミングに、LINEからちょうどAIアシスタント「LINE CLOVA」の構想が発表され、自分の周りも盛り上がっていたんですよ。私は「ユーザーの生活レベルを向上させる、自分が使いたくなる魅力的なプロダクトを作りたい」という思いが強く、「LINE CLOVA」はまさにそんなプロダクトだと感じました。
それから、私が最初に働いた会社の同期が、LINEに転職して「LINE CLOVA」の開発に携わっていたんです。彼からLINEのポジティブな面もネガティブな面も教えてもらい、そのうえで「良い会社だ」と感じたため、入社を決めました。
柔軟な働き方ができるのはLINEの良い点
――LINE入社後、東山さんはLINEの東京本社に勤務し、データの分析・研究専門の開発組織に所属されていました。担当されていた業務の概要を教えてください。
「LINE CLOVA」のNLU(Natural Language Understanding )の開発をしていました。人間の話す自然言語を解釈して、システムが理解できるような形式に変換するための仕組みです。他にも「LINE CLOVA」のアーキテクチャ刷新や、サードパーティー向けの「LINE CLOVA」関連システムの開発などを担当しました。
なかでも、アーキテクチャ刷新のプロジェクトは特に印象深いです。当時は、日本と韓国とで、NLU関連のシステムのアーキテクチャ構成が全く異なっていたんですよ。それを、日本側に寄せるでも韓国側に寄せるでもなく、完全に新しい設計に変更しました。かなり規模の大きなプロジェクトでしたから、複数のステークホルダーと連携を取りながら進行する必要がありました。大変なことの方が多かったですが、その経験を通じて数多くの学びがありましたね。

――その頃に、京都に異動希望を出されたと伺いました。
私が入社してすぐに、現在所属している京都オフィスができました。もともと出身が関西で、父親が高齢なのもあり、今後のことを考えるといつか関西に戻りたいと思っていたんですよね。そこで、東京本社から京都オフィスへの異動願いを出して、受理されて異動、その後、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が多くなったので、実家のある和歌山に引っ越しました。社員個人の働き方や意志に関してかなり柔軟に理解と対応をしてもらえるのは、LINEの良い点だと実感しています。
「出前館」のサーバーサイドエンジニアへ
――「出前館」のサーバーサイドエンジニアに転向された経緯をお話しください。
これは、プロダクト開発に関する私の思いが影響しています。順を追って解説すると、基本的には自然言語処理“だけ”でサービスを作ることはあまりないですよね。たとえば「LINE CLOVA」ならば「音楽を再生する」「家電を操作する」など本来実現したい機能があり、その補助的な役割として自然言語処理が使われます。
つまり、なんらかのサービスや事業を“エンハンスする“のが自然言語処理の立ち位置で、サービスの主体にはならないことが多いと思っています。
だからこそ、この技術を扱っている過程で「自分の開発しているシステムのゴール」と「事業・組織のゴール」とがあまり一致していないという感覚を覚えることもありました。
エンジニアとして世の中に広く使われるプロダクトを作りたい気持ちが強いからこそ、徐々に「自然言語処理にこだわる必要はない」と思うようになったんです。そんな折に、「出前館」のサーバーサイドエンジニアに挑戦できるチャンスがありました。「出前館」は世の中の多くの人たちが利用しているプロダクトで、自分が求めている要件に合致していてすごく魅力でした。
もともと、AIエンジニアとして仕事をしていた時期にもサーバーサイドのエンジニアリングも担当していたので、それほど大きな転身だとは感じていませんでした。ただ、本格的にサーバーサイドをメインに担当するということで、やはり最初は少し緊張しましたね。
――「出前館」の開発で印象に残るプロジェクトはありますか?
2つあり、まずはチームに参画してから最初に実装を担当したSMS認証機能です。開発の期限が2週間くらいで、なかなかタイトなスケジュールのプロジェクトでした。JavaやSpring Bootの経験があまりなかったため、そうした新しい技術をキャッチアップしながら機能開発をする毎日でした。日々、学びや発見があり、たくさんコードを書けて幸せでしたね。チーム内には設計や実装について相談できる優秀な同僚も多くて、そういった点でも満足しています。
もう1つは、「出前館」のレビュー機能のアーキテクチャ改善です。もともと、モノリシックなアプリケーションの一機能だったものを、マイクロサービスとして切り出しました。このプロジェクトでは、出前館の新卒入社のメンバーと一緒に業務を進めていきました。その過程で、その人の成長をすごく感じたんですよね。その様子を目の当たりにできたことが、非常に嬉しかったのを覚えています。自分も年齢的に周りへの意識が強くなってきているというか、周囲のエンジニアや自分よりも若い人にどう良い影響を与えられるか、以前よりも気になるようになりました。

プロダクトの成功に貢献できるエンジニアでありたい
――話してくださったエピソードに関連して、質問したいことがあります。「出前館」のサーバーサイドエンジニアに転向するのではなく、このタイミングで他社に転職する選択肢はありましたか?
その可能性もあり得たかもしれませんが、LINEという会社で働きたかったですかね。自分が使いたくなるようなプロダクトに携われるのが理由のひとつ。そして、LINEには優秀なメンバーがかなり多いのが良いなと思っていて。一緒に仕事を進める過程で、設計や開発について高いレベルの議論ができるのも楽しいです。
先ほど、新卒エンジニアの成長という話をしましたが、そうした「他のエンジニアを育成しよう」という意識を持つようになったのも、LINEの環境が影響していますよ。社内にはスキルの高い若手も多いので、そういったメンバーが力をつけてくれれば、チーム全体として実現できることの幅が広がると思っています。だからこそ、他のエンジニアのサポートも積極的に実施していきたいです。
――エンジニアとしての今後の目標を教えてください。
今後も、新しい技術をキャッチアップして、エンジニアリングのスキルをもっと伸ばしていきたいです。これは、エンジニアならばみんなそうだと思うんですよね。やはり、技術的に成長し続けていたいですし、優秀なメンバーと一緒に働きたいじゃないですか。
ですが、エンジニアリングだけを磨けばプロダクトを成功させられるかというと、そうではないと思っています。だからこそ、幅広い領域のスキルを学ぶことで、事業に貢献できるようになりたいです。たとえば、プロジェクトをより円滑に進められるようにプロジェクトマネジメントを学んだり、他にもマーケティングやコーチングを習得したりといった方法も考えられます。自分にできることはまだまだあると思うので、これからも研鑽を続けていきます。
――インタビューを通じて「事業やプロダクトを成功させたい」という東山さんの思いが伝わりました。今回はありがとうございました。
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