Beaconを利用したgeo-linkedアプリケーション

こんにちは。LINE TaiwanでLINE Beaconプラットフォームのビジネス開発・企画を担当しているCharlotte Yuです。

私は最近、LINE Beaconの位置認識技術を活用する方法について模索しています。LINE Beaconの位置認識技術は、LINEが目指す「スマートポータル(Smart Portal)」を実現し、人と人、人と情報、人とサービスとの距離を縮める「CLOSING THE DISTANCE」のミッションを達成する上で重要な役割を果たすことになります。

今はまだ初期段階ですので、Beaconを着実に普及させ、ユースケースを提案することでユーザ認知度や利用率を高めることに注力しています。

私たちの戦略は、LINE Beaconプラットフォームを台湾で人気の高いLINEの他のサービス・機能と連携し、台湾の膨大なLINEユーザに提供することです。そして今後、位置認識がモバイル技術の発展をけん引する原動力になるとの判断から、私たちはできるだけ多くの場所にLINE Beaconを設置するようにしてBeaconネットワーク構築に取り組んでいます。これら二つの要素、すなわち台湾におけるLINEの高い浸透率とLINE Beaconの位置認識技術の正確さは、実世界とオンラインでの行動が統合されたO2O(Online to Offline)エコシステムを構成する柱といえます。

O2Oメッセージングを利用すると、オンラインプラットフォームとオフライン店舗をつなげることができます。O2Oの目標は、ほとんどの時間をオンラインマーケットやオンラインプラットフォームで過ごす消費者をオフライン店舗へと誘導すること。オンラインクーポンやメンバーシップカードを提供し、近接マーケティングを展開するのはそのためです。そこで私たちは、様々なBeaconアプリケーションを制作し、バーチャル世界を実世界にまで広げてくれるオンライン-オフラインのネットワークを構築しています。

売上げを伸ばす目的で、O2OとBeaconを通じて、日常的に使われるモノやサービスにLINEクーポン、LINEポイント、LINEショップカードといった機能を連携することが考えられます。たとえば、近くにいるLINEユーザにGeoAD(geo-linked advertisements)をプッシュして店舗をPRし、公式アカウントやLINE@アカウントなどLINEビジネスアカウントでイベントを実施することができます。そして、LBS(location-based service、位置情報サービス)基盤のクーポンやスタンプを活用してLINEユーザの来店を促します。その結果、LINE@アカウント運用者は、屋内ナビゲーション、お買い物ガイドなどのLBS add-onを提供することで、ユーザ経験を改善し、顧客維持率を向上させることができます。

LINE Beaconプラットフォームでは、これらアプリケーションのフィージビリティと安定性検証のため、数ヶ月に渡って何度もパイロットテストが行われました。以下に各パイロットテストを簡単にご紹介し、テストから学んだことについて説明いたします。

LINE@イベントでのパイロットテスト

ユーザ流入マトリックス(The user flow matrix)

ビジネスパートナーから必ず聞かれる定番質問、それは「どうすれば顧客のデバイスのBluetoothをONにしてもらえるか」です。そこで私たちは、初期段階からLINEユーザにBluetoothをONにさせるためのバリュープロポジション(価値提案)に着目しました。たとえば、近くにいるユーザに高い割引率のクーポンをプッシュして、店内に入ってもらえるように働きかける、というものです。

①. Beaconメッセージ:イベント参加を呼びかける。
②. Beaconメッセージ:イベントアカウントの友だち追加を提案する。
③. 掲示ポスター:BluetoothをONにするよう案内する。⇢ ①
④. 掲示ポスター:BluetoothをONにするよう案内する。⇢ ② ⇢ ①

ただ、今回は台湾初のLINE Beaconパイロットテストとあって、一切のプロモーションや案内を排除し、最も基礎的なデータを収集して今後のパイロット評価の基準にすることにしました。その結果ですが、テスト対象者の38.50%がBluetoothをONにしました。

LINE Beacon結婚式フォトスタンプ

これは、あるLINE社員のアイディアから誕生したものです。同社員は2016年10月、当時台湾で新しくリリースされたフォトスタンプ機能を利用し、本人の結婚写真をゲストに送信することにしました。位置情報アプリケーションを利用すると、しかるべき場所やタイミングでユーザの参加を呼びかけられることから、この社員のアイデアは、結婚式、誕生日パーティ、コンサートといったオフラインイベントでBeaconをいかに活用するかについて検証できる良い機会となりました。 ほとんどのゲストにLINEスタンプの購入経験がなかったにもかかわらず、なんと27.9%のコンバージョンレート(販売したスタンプの数÷ゲスト数)となりました。

結婚式で使われたフォトスタンプは、右記ページにてご覧いただけます:https://store.line.me/stickershop/product/1341742/

以後、この成功事例のフォローアップとして、「Taiwan TechPulse」イベントのミッションスタンプBeaconをローンチ。Taiwan TechPulseのご紹介や同イベントでのスタンプの使われ方など詳細については、LINE Engineeringブログ記事「LINE Taiwan TechPulse 2016参加レポート」にてご確認いただけます。

MRT駅、バス停でのフィールドテスト

このフィールドテストは、2016年に実施したパイロットテストのうち最大規模のものです。テストでは、LINE Beacon GeoADの本来のコンセプトをより強化すべく、MRT(Mass Rapid Transit、台湾の地下鉄)駅やバス停など行き交う人の多い公共施設にLINE Beaconデバイスを設置しました。

パフォーマンスの高い、かつクリエイティブな広告の効果をさらに高めるには、GeoADの受け手となるユーザを正確に選別する必要があります。私たちのGeoADのコンセプトを考えれば、通常スペックのBeaconを適用した方が有効だったかも知れません。長期的に考えると、パートナー側のBeaconを利用することがより強固なエコシステムの構築につながるためです。しかし、セキュリティやプライバシーへの懸念から、最終的はLINEビジネスアカウント(公式アカウント、LINE@アカウント)で利用可能な特殊スペックのBeaconを使うこととなりました。

テストの実施期間は約一ヶ月。その間、LINE Beaconを利用してLINE TODAYニュースフィードを発信したり、お店の近くにいるユーザにクーポンブックを提供したりと、様々なシナリオを検証することができました。今回のテストから得られたデータは以下の通りです。

  • 80%のユーザがバス停で待ち時間にスマートフォンをしている。
  • 35%のユーザが端末のBluetoothをONに切り替えている。
  • 90%のユーザがスマートフォン使用中にLINEをしている。
  • わずか1%のユーザのみ、Beaconバナーをクリックしている。

上記の数字から、LINE Beaconの設置場所や提供されるもの、そしてユーザの利用パターンなど様々な要因が結果に影響していることが分かります。停留所でバスが来るのをチェックしている間は、近くの店舗からスペシャル提案が届いてもユーザはなかなか気づくことができません。要するに、LINEユーザのバス停での行動パターンを考慮すると、バス停は規模の経済(economies of scale)を実現するに足る場所とはいえないということです。このような結果を受け、ユーザを誘引するためゲーミフィケーション(gamification)を取り入れたユースケースを作ってみようというアイデアも出されました。

今後の計画

今回のパイロットテストからは、O2O活動の可能性と戦略的重要性について学ぶことができました。今後は、店舗と消費者とのリアルタイムのやり取りを実現して店舗など様々な場所におけるユーザ経験を改善し、リアルタイムの位置情報や消費者の興味に基づくパーソナル化された情報を発信することで、まったく新しい可能性を見出していきたいと考えております。

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