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「LINEはB2BにもB2Cにも強い会社だ」と知ってもらいたい。松野徳大が語るフェローとしてのビジョン

LINEで働くエンジニアに色々と話を聞いていく「LINE Engineer Insights」。LINEの技術組織で働く個々人に、何を重視して技術者としてのキャリアを歩んでいるのか、今LINEで何に取り組んでいるのか、今後実現していきたいことなどを聞いていきます。

今回登場するのは、Official Account開発室の室長兼Ad Network & Performance室の室長として開発者のマネジメントを担当し、2022年4月よりBusiness Platform Developmentのフェローに就任した松野徳大。

松野のこれまでのキャリアやフェローとしての目標、エンジニアとして大切にしていることなど幅広いテーマについて話を聞きました。

ソフトウェアエンジニアとして歩んできたキャリア

――まずは、松野さんがLINE入社前から現在に至るまで、どのようなキャリアを歩んできたのかを伺います。

高等専門学校を卒業してから現在まで、一貫してソフトウェアエンジニアとして働いています。最初に入った会社は、主にガラケー向けのWebサイトを提供していました。私は広告系のシステムや着メロ・着うたサイト、コミュニティサイトなどの開発・運用に携わっていました。ベンチャー企業だったので、新卒として働き始めた6月には、「クリック保証サイト作っておいてね〜」と任されてほぼ一人でクリック保証サービスを作りました。しかし、画面仕様だけを仕様として渡されていたので、自社のマージンという概念がリリース直前まで実装されておらず、広告主が払ったお金をメディア側に全額戻す仕様で実装してしまっていました。それにリリース直前に気づいて慌てて直したのも良い思い出です。そういった経験から、エンジニアは画面が動くことだけではなく、どのようにシステムがお金を稼ぐのか、という視点を持つことが重要だということを学びました。

次の会社では、フォトストレージサービスのiアプリクライアント、Windowsクライアント、Macクライアントの開発に主に携わって、それ以外にiPhoneアプリやソシャゲの開発なども経験しましたね。この会社は残念ながら途中で資金が尽きてしまい、会社都合退職となりました。

その次に入ったのがライブドア、つまり今のLINEです。経営統合してLINEになってからは、私の所属もLINEになりました。LINEマンガやLINE Creators Market、LINE TAXIなどの開発に携わり、LINE Creators MarketとLINE TAXIの開発プロジェクトではテックリードを務めました。

その後、LINEの広告プラットフォームの開発でエンジニア複数名のマネジメントする役割と、子会社であるM.T.Burn株式会社との調整業務なども担いました。異なる会社や組織との協業、システム連携の経験は、昨年のZホールディングスとの経営統合やヤフーとの広告連携プロジェクトでも活きている気がします。

そこから現在に至るまで、コードを書く役割は徐々に他のエンジニアに譲りながら、システムの全体的なアーキテクチャを考えたり、データ活用の戦略を考えたり、開発組織のマネジメントをしたりという役割にシフトしてきました。

「Kotlinの会社」としての認知度を向上させたい

――2022年4月からフェローに就任しましたが、松野さんの担う役割を教えてください。

そんな中、個人的に特に力を入れたいと思っている活動のひとつがLINEの技術広報です。具体的には、今多くのみなさんがLINEは「Javaの会社」と思っていると思うのですが、多くの開発プロジェクトで導入が進んでいるKotlinについても実態を発信しイメージや認知度を高めていきたいと考えています。

まずは優秀なKotlinエンジニアに興味を持ってもらい、キャリアの選択肢としてLINEを意識してもらうため、LINEのKotlinに関連する活動をもっと情報発信しようとしています。現在は、LINEの開発3センター サービス開発1室 室長の大澤和宏さんやLINE Fukuokaの Koji Lin さんなど、様々な部門の方々と情報連携しながら社外向けのKotlin勉強会を企画・開催しています。

これまでのキャリアのなかで、オープンソースコミュニティで活発に活動してきました。今でも自分自身もオープンソースソフトウェアの開発を続けているので、コミュニティ内で培った知見や人脈を活かしながら、Kotlin界隈はじめ、様々な技術コミュニティでのLINEのプレゼンスを向上させていければと思っています。

そもそも、フェローになる前からLINEの技術広報に携わっているというか、先程触れた「Javaの会社」というイメージ作りに一翼を担ったのも私です(笑)。もともと、LINEはPerlやJavaを用いてシステム開発をしていましたが、Javaを利用して開発しているイメージはほとんど外部のエンジニアには持たれていませんでした。

その状況を変えようと、7~8年前くらいに私は東京で開催されているJava関連の勉強会に片っ端から参加して、時折登壇をしながら、Javaコミュニティの人たちと仲良くなったり、他のエンジニアに登壇を促したりしました。

Javaの広報活動を3年くらい続けて、ようやく「LINEはJavaの会社だ」と世間に認知されるようになりました。Kotlinの広報活動も一旦3年くらいのスパンで注力して、「LINEはKotlinの会社でもある」「日本でKotlinと言えばLINE」という認知を作っていきたいですね。

LINE社内には、技術広報活動を主導・サポートしてくれる専門部署もあります。ですが、そうしたメンバーに丸投げするのではなく、エンジニア自身も広報活動に参加する環境や文化を作っていくことが大切です。エンジニア自身が能動的に外部発信を行いやすいように、外部発信を行うことに価値を感じられるように文化や雰囲気を作り、情報発信の質を高め量を増やして技術的な認知度を高めつづけることで、優秀なエンジニアにLINEに興味を持ってもらって、さらに良い開発ができる体制づくりにつながっていくと思います。

LINE は、B2C の会社というイメージが強い会社です。それはもちろん正解なのですが、実は僕が担当している Business 向けの Platform 事業というのも LINE にとって非常に重要な位置をしめています。LINE 株式会社の売上の半分以上を締めているのが広告事業です。しかしながら、そういった実態は社外のエンジニアの方々には残念ながら認知されていません。私が Business Platform Development 担当の Fellow になったからには、LINE は B2C にも B2B にも強い会社なんだ、B2B のエンジニアも積極的に採用しているんだ、ということを社外のエンジニアの方々に広く知っていただきたいと思っていますので、今後はどんどんアピールしていきたいと思っています。

ビジネスとエンジニアリングが両方わかる人でありたい

――ここからは話題を変えて、松野さんがエンジニアとして働くなかで、大切にしていることを伺います。

エンジニアはコードを書くことが好きなので、どのような課題に対しても「ソフトウェアを作って解決しよう」と考えてしまいがちです。ですが、その方法が最適な解決策とは限りません。ありもののツールを使えば事足りるかもしれないですし、実は何もしないことが正解というケースもあり得ます。そのため私は何かの課題に直面した際には、なるべく自分たちで開発せずに済ませる方法はないかということを常に考えるようにしています。

それから、広告プラットフォームなどBtoBのサービスを提供している部署の場合、どうしてもお金を出しているクライアント企業のことを第一に考えてしまう傾向にあります。しかし、その先にいるエンドユーザーのことも同時に考えなければ、良い施策にはなりません。こういった理由で私はプロジェクトを俯瞰的に捉えて、改善のためのアイデアを出すようにしています。

また、何よりも大切にしているのは売上が上がるか、利益を出せるかという点です。上司からもよく「長所はお金が好きなことだ」と言われます。もともと、20歳くらいの頃から「ビジネスとエンジニアリングを両方わかるエンジニアになりたい」と思っていました。

それから、最初に入った会社が厳しい営業目標を掲げていたことや、次に入った会社の資金がショートして会社都合退職になってしまったことなども、この価値観に大きく影響していて。どれほど良質なプロダクトを開発していても、売上が伸びなければ事業継続は難しくなってしまう。そうならないように、エンジニアリングだけではなくビジネスにも責任を持って仕事をしたいと思い、行動しています。

――エンジニアのなかには、ビジネスのことを理解するのが苦手なタイプも一定数います。どうすれば松野さんのようにビジネスへの理解を深められるでしょうか?

「ビジネスに興味を持つこと」が何より大切でしょうね。ビジネスサイドのメンバーも、本当はエンジニアに話を聞いてほしいと思うんですよ。エンジニアの側からビジネスサイドに質問することで「エンジニアは売上の数字などには興味がないと思っていたけれど、この人は事業に関心があるのか」という印象を持ってもらえます。

その結果、ビジネスサイドから積極的に情報共有してもらえる好循環が生まれます。私は競合他社のIR資料を読むのが好きなのですが、その感想などを社内のSlackとかに書くようにしています。

――ビジネスに関する情報を集めるうえで重要な行動ですね。他に松野さんが得意とされていることはありますか?

私はDevOps系の活動が好きで、関連ツールを自作することもよくあります。Web開発の過程で必要になるツールやライブラリなどを作ることが好きなので、その開発をするためにWebエンジニアを続けているようなところがあります。

ビジネスを成長させるためにエンジニアがやるべきことは、最終的に「高速に開発する」「システムを安定運用する」の2つに集約されると思っています。自分の場合は、後者に注力することに楽しさを覚えるタイプですね。

――松野さんのエンジニアとしての特性がとてもよくわかりました。インタビューの締めの言葉として、今後の意気込みをお願いします。

私が普段メインで担当しているのは、LINE公式アカウントに関連する業務です。そして、LINE公式アカウントはLINE社内のほぼ全てのプロダクトが依存しているシステムです。このシステムを改善することの重要性は高いですし、今後もより良いシステムを目指して部署一丸となって取り組みたいと思います。

そして、フェロー業務に関連する目標としてはLINE公式アカウント事業を中心としたB2B 事業を成長させたいです。LINE公式アカウント事業は、LINEの各種サービスを支えているサービスでもありますので、LINE公式アカウントの API 提供などを通じて、全社のサービスにも貢献していきたいです。

――どちらの目標もLINEの成長に直結しそうで楽しみです。ありがとうございました。

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